お悩み

「雨漏り」

瓦屋根住宅で雨漏りが発生しているとご相談をいただきました。
室内の雨漏り箇所から、屋根の状態を詳しく調査することになりました。
お客様は、屋根全体の老朽化は理解しつつも、「今は費用や規模の面から、大掛かりな工事は避けたい」というご要望でした。

屋根診断結果「雨漏りの原因とは？」

雨漏り箇所（室内）の真上にあたる屋根を調査したところ、以下の深刻な劣化が判明しました。

• 防水シートの腐食と破れ
  瓦を取り外し、下の防水シートを確認したところ、雨水の長年の侵入によってシートが腐食し、大きく破れている箇所が見つかりました。

• 雨水の痕跡
  破れた防水シートの下の野地板（下地材）には、長期間にわたる雨水の侵入による黒いシミが広範囲にできていました。

✅この防水シートの寿命と損傷が、瓦のわずかな隙間から侵入した雨水を防ぎきれなくなり、雨漏りを引き起こしていると特定しました。

長寿命の瓦屋根で雨漏りが発生する原因とは？

瓦屋根自体は50年〜100年持つと言われますが、なぜ雨漏りが発生するのでしょうか。
原因は、瓦の耐久性とは別のところにあります。

✅防水シートの劣化
瓦の下に敷かれた防水シートが、経年で硬化・劣化し、ひび割れや破れが発生。瓦の隙間から侵入した雨水を防ぎきれなくなる。

✅漆喰の剥がれ
棟（屋根の頂上）に使用されている漆喰が剥がれ、瓦の固定力が低下し、雨水が侵入する。

✅瓦のズレ・破損
地震や強風、飛来物により瓦がズレたり破損したりすることで、雨水が直接下地に達する。

部分葺き直し工事で雨漏りを解決

客様の「大掛かりな工事は避けたい」というご要望と、老朽化が進行している状況を考慮し、雨漏り箇所に限定した部分葺き直し工事をご提案・実施しました。

雨漏り解決のための部分葺き直し工事の工程

✅瓦の撤去
雨漏り箇所の瓦を撤去します。
撤去した瓦は再利用するため、丁寧な作業が求められます。

✅下地の補修
腐食した下地を補修します。
野地板の施工。

✅下地の補修が完了しました。

✅防水シート施工
補修した下地の上に新しい防水シートを施工します。
瓦の下に防水シートがあることで2重で雨水の侵入を防ぎます。

✅桟木の施工
桟木とは、瓦を取り付けるための下地の木材のことです。

✅瓦復旧
取り外した瓦を、ズレがないように丁寧に元の位置に葺き戻し、固定して工事完了です。

工事を振り返って｜福岡市早良区の雨漏り工事

福岡市早良区の方に雨漏り解決のための瓦屋根、部分葺き直し工事の施工事例をご紹介しました。

今回の部分葺き直し工事により、雨水の侵入経路となっていた防水シートの破れが解消され、お客様は雨漏りの不安から解放されました。
瓦を再利用したことで、費用を抑えた形で確実な防水対策が実現しました。

しかし、瓦の下の防水シートの劣化は全体に広がっている可能性が高く、今回はあくまで雨漏り箇所に限定した修理です。
今後のことを考えると、築年数が経った瓦屋根には、屋根全体の防水シートと下地を一新する「葺き替え工事」が最も推奨されます。

お客様には、今回の工事をきっかけに、将来的な根本解決をご検討いただくようお勧めしました。

瓦屋根の劣化が全体に広がっている場合、どんな屋根リフォームがおすすめ？

瓦屋根の老朽化が全体に広がっている場合は、以下の葺き替え工事が最も効果的です。

• 葺き替え工事
  既存の瓦と下地をすべて撤去し、新しい防水シートと屋根材（瓦または軽量屋根材）に交換する工事です。防水性が完全に回復し、建物の耐震性向上にもつながります。

  ※注意点: 瓦屋根は重すぎるため、既存の上から新しい屋根材を重ねる屋根カバー工法はできません。